「ニュースアプリ」についてのメモ

2014年09月09日

「ニュースアプリ」についてのメモ

「ニュースアプリ」についてのメモ
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 紙メディアは「ニュースアプリ」をどう見る--新聞、雑誌、作家が語る
Gunosy(グノシー)が7月30日に開催したメディア向けセミナーで、ニュースサイト「毎日新聞」編集長の乗峯滋人氏、文藝春秋のウェブ事業部長である田中裕士氏、作家でジャーナリストの佐々木俊尚氏が、キュレーションメディアに対する印象や期待などを語った。

 
ニュースサイト「毎日新聞」編集長の乗峯滋人氏
 「Gunosyなどのキュレーションメディアにどのような印象を持っているか」との問いに対し、毎日新聞の乗峯氏は「新聞はキュレーションメディアだと思っていて、それは紙もデジタルも大した違いはない」と切り出し、「本来であれば我々がやらなければならなかったのではないか。(キュレーションメディアを)やりたかった、というのが率直な印象」と話した。

 文藝春秋の田中氏は、キュレーションメディアがユーザーとの接点を作っていることに触れ、「ありがたい」と率直な感想を述べた。「PCは雑誌のコンテンツ形態をそのまま載せやすかった。それがスマートフォンになると移行が難しい。スマートフォンユーザーをどうやって獲得するかで後手後手に回っているところに、さまざまなキュレーションメディアが声を掛けてくれて、ユーザーとの接点を作ってくれた。そういう意味ですごくありがたいと思っている」(田中氏)。

 
文藝春秋 ウェブ事業部長の田中裕士氏
 ジャーナリストの佐々木氏は、今のメディア業界は「PCからスマートフォンへ」「ポータル・検索からソーシャルへ」という2つの大きな動きがあるとし、「おそらく10年に1度の変革期」と説明する。

 「いま起きている“キュレーションアプリ戦争”と言われているようなものは、PC時代にYahoo!ニュースが取っていたポジションを、スマートフォン時代には一体どこが取るのかという話。それはまたヤフーかもしれないし、有望だと言われているLINEかもしれない。GunosyやSmartNews、NewsPicksなども出てきたが、このゼロベースの戦いの中で、ガチッと(マスを)取ったところが次世代のニュース基盤になる可能性が極めて高い。そのため、この一連の市場動向を非常に興味深く見ている」(佐々木氏)。

次世代のニュース基盤も「公共の担い手」に

 佐々木氏は過去に、書籍「ヤフー・トピックスの作り方」の著者である奥村倫弘氏と、Yahoo!ニュースなどについて議論したことがあるという。奥村氏は、元ヤフーメディアサービスカンパニー編集本部長で、現在はニュースサイト「THE PAGE」を運営するヤフーの子会社ワードリーフの代表取締役社長を務めている。

 
作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏
 佐々木氏によるとその議論中に奥村氏は、Yahoo!ニュースのような巨大メディアにはジレンマがあるとして「PVを上げることを目的としたニュースをトピックスに上げると、どうしても芸能ネタが中心になってしまう。しかしそれでは、これだけPVがあって多くのユーザーにリーチしているのに、こんなネタばかりを出していていいのかと罪悪感に駆られる」と話したという。なお奥村氏の著作によると、Yahoo!ニュースは2009年10月時点で45億PV、6970万UU。

 この話の後で佐々木氏は、この時期にキュレーションメディア市場を取った会社は“公共の担い手”として期待される時期が必ず来ると指摘した。「(ITの発展により)新聞の世論調査よりもずっと精緻なビッグデータ分析で、人々の声や世論をすくい上げることもおそらく可能になる。その中で、Gunosyなどのキュレーションメディアも巨大化するに従って、公共性をどのようにして政策やアジェンダの設定に結びつけるのかという非常に重要な設問が必ず出てくる。ここをぜひしっかりと考えてもらいたい。そうすれば、新しい民主主義の可能性も開けるのではないか」(佐々木氏)。
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 グノシーのユーザー像、自己投資に積極的なバリバリのビジネスパーソン

Gunosyは、同社提供のニュースアプリ「グノシー」の500万ダウンロード以上に伴い、ユーザー属性を公表した。男女比では男性のほうが多く、「第一線で活躍するビジネスマン、ビジネスウーマンで、プライベートも充実させつつ自己投資も怠らない」人がユーザー像となっているという。

同社のアンケート調査によると、男女別比率では、男性が57%、女性が43%。年齢別では、男性の場合30歳から39歳の層が最も厚く33%で、20歳から29歳が30%だった。女性の場合は20歳から29歳が47%とおよそ半数を占め、30歳から39歳が21%だった。男女ともに20歳から39歳までがユーザー全体の6割以上を締める結果になっている。

ユーザー像については、男性の場合「ジム通い、本、資格の取得などお金を使う人が61%」「車を所有している人が67%」「年収700万以上が25%、500万以上が過半数」としている。女性の場合は「ファッション、美容など最新情報に興味がある65%」「ボディメンテナンス、洋服、化粧品にお金を使っている64%」「旅行が好き56%」「化粧品はデパート、百貨店で購入する50%」となっている。

また、グノシーの利用頻度については、週一度以上、利用するユーザーが全体の8割を占め、「朝起きてすぐ、ベッドの中から」「通勤中に電車の中から」「ランチタイム」「帰宅時の電車の中から」「帰宅後に自宅から」となり、ほぼ決まった時間に閲覧される傾向にあった。
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「カメリオ」 キュレーションアプリがリニューアル - AndroidとWebにも対応


情報サービスやビッグデータコンサルティングを行う白ヤギコーポレーションは8月25日、同社の提供するキュレーションアプリ「カメリオ」のリニューアルを実施した。レコメンド機能とアルゴリズムの改良などで、よりユーザーの興味関心に合った情報の収集が可能だという。


カメリオ概要

「カメリオ」は、ユーザーが300万以上のテーマの中から興味・関心があるものを選択することで、関連性の高い記事や情報が自動で集まるキュレーションアプリ。同社開発の「フォローエンジン」により、ユーザーが選択したテーマに沿って情報を収集するため、アルゴリズムの学習を待つ必要がないほか、テーマも100万から300万に増えて「スポーツ」や「政治」など大枠のカテゴリでなく、人物名や企業名など具体的なジャンルに対応しているため、精度の高い情報収集が可能だという。

今回のアップデートでは、Android版・Web版の提供に加え、レコメンド機能の追加とアルゴリズムの改良、アイコンやデザインの変更を実施。レコメンド機能では、「特集」ページにおいて、カメリオ編集部がその日話題のテーマをセレクトし表示するほか、TwitterやFacebookのアカウント連携により、ユーザー自身のつぶやきや「いいね!」を参考にした最適なテーマの提案を行う。
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後発の影響は「思ったよりある」--ニュースアプリ「カメリオ」が攻勢へ


「後発である影響は思ったよりもあった。今後はよりポジショニングによる差別化が重要になる」――白ヤギコーポレーションは8月25日、ニュースアプリ「カメリオ」をリニューアルした。自分から探さなくても欲しい情報を見つけやすくしたほか、iOS版に加えて新たにAndroid版やウェブ版も公開した。現在、iPad版も開発中だという。

 カメリオは、「iPhone」や「バイク」、「ダイエット」など気になるキーワードを“フォロー”することで、5000以上のメディアからピックアップしたニュースを毎日届けてくれるアプリ。話題のニュースだけでなく、興味のある情報を細かく知ることができるのが特長だ。

 
白ヤギコーポレーション代表取締役の柴田暁氏
 2月の正式公開から半年が経った8月末時点のダウンロード数は約6万。2012年から提供している“先輩”アプリである「SmartNews」や「Gunosy」が450万ダウンロード、「Antenna」が350万ダウンロードを超えていることを考えると少々厳しい数字のようにも思えるが、白ヤギコーポレーションの代表取締役である柴田暁氏は、「広告出稿していないことを考えれば悪くないペース」とネガティブには捉えていない。

 ただし、後発だったことによる影響も感じているようで、「ニュースアプリがすでに(スマートフォンに)入っている状態から、もう1つ入れてもらうためのハードルはある」とも語る。今後は、より独自性を高めていかなければ、競争の激しいニュースアプリ市場では生き残れないということだろう。そのために今回サービスを大幅に刷新した。

探さなくても好きなテーマが見つかる

 カメリオでは、アプリの初回起動時に自身の興味のあるテーマを入力して登録するため、スマートフォン時代の“RSS”のような使い方で、25~35歳の男性ビジネスパーソンを中心に利用されている。2月の公開後もユーザーインターフェースなどを改善し、新規ユーザーの定着率は3.5倍に増加。セッションあたりの滞在時間も5分以上と高いという。

 
刷新した「カメリオ」
 この一方で、すぐに興味のあるテーマが浮かばない人も多く、「能動的な機能だけでなく、受動的な機能もほしいという声が寄せられていた」(柴田氏)という。そこで、リニューアル後はカメリオ編集部がその日に話題のテーマを選んで推薦。また、TwitterやFacebookと連携し、ユーザーの行動履歴から最適なテーマを提案するようにした。

 さらに、登録テーマ数を従来の100万から300万まで増やし、よりニッチなテーマの情報を追えるようにしたほか、アルゴリズムも改良し、よりテーマと関連度の高い記事を表示するようにした。これに合わせて、“亀”が印象的だったアプリアイコンも、使っている人が知識を深めて進化するという思いを込めて“矢印”へと変えた。

パーソナルニュースの可能性は大きい

 カメリオは自分の興味のある情報を中心に閲覧できる“パーソナルニュース”メディアだ。しかし、同じくSNSなどの履歴から個々の嗜好にあったニュースを配信していたGunosyは、ユーザー数を増やすために網羅的なニュースアプリへと方針転換。さらに、テレビCMなどを大量に投下したことで急速に成長した。

 ニュースアプリ強者が見据える「未来」とは--主要4社が議論

 こうした状況がある中でも、柴田氏はパーソナルニュースだからこそ提供できる価値があるとし、その可能性を追求したいと話す。現在は6万ダウンロードだが、今回のリニューアルをきっかけに、2014年内に100万ダウンロードを目指すとしている。

 また、同社のメインユーザーであるビジネスパーソン向けの情報や機能も充実させていきたいという。すでに名刺管理アプリ「Eight」や「すごい名刺管理」と連携し、撮影した名刺の企業に関する最新ニュースをチェックできる機能を搭載しており、「それぞれのユーザーの10%ほどに利用されている」(柴田氏)。今後は、連絡帳や予定表など他のアプリと連携して簡単にテーマを登録できる機能も提供していきたいという。

 ところで、ビジネスに特化したニュースアプリとしては「NewsPicks」が先行している。この点については「NewsPicksが幅広いテーマで意見を話す場を形成する『新聞』だとしたら、カメリオは忙しくて情報が追えないビジネスパーソンが興味のある情報だけを拾える『雑誌』。目的が違うと思っている」とコメント。競合するとは考えておらず、むしろ組み合わせて使ってほしいとした。

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 進化する「産経ニュース」 東西「ダブルトップ」、モバイル重視「フォト」

10月1日に本サービスを開始する産経新聞の新ニュースサイト「産経ニュース」(http://www.sankei.com/)は、国内最多級の独自コンテンツをそろえた「質」、1日あたり記事約500本にものぼる情報を発信する「量」、国内・海外で起きた重大ニュースを即座に伝える「速さ」を備えた、どこよりも信頼されるニュースサイトを目指す。

 他のニュースサイトやポータルサイトなどにはない特徴として、2種類のトップページを提供する「ダブルトップ」を採用。従来の産経新聞東京本社が編集するものに加え、大阪本社が独自の編集で提供する「産経WEST」(http://www.sankei.com/west/west.html)を同等の位置付けで公開することにより、ユーザーに対し多様な価値観によるニュース提供を実現する。

 また、国内唯一の報道写真専門サイト「産経フォト」(http://www.sankei.com/photo/)は、スマートフォンやタブレットでの閲覧に重点を置いた「モバイルファースト」を実現。画面に一切触れずにパノラマ写真を好みの視点から見ることができる機能などを備え、時代の流れに沿ったサービスを提供する。

 さらに、10月1日にオープンする総合オピニオンサイト「iRONNA(いろんな)」(http://ironna.jp/)や、パソコン、スマートフォン双方の「電子新聞」を一体的に利用できる環境を整え、ニュースをめぐる多彩な需要に対応する。


産経デジタル、オピニオンサイト「iRONNA」開設 出版5社と提携

産経新聞グループのデジタルサービス会社、産経デジタルは8日、グループの新しい旗艦ニュースサイトとなる「産経ニュース」と総合オピニオンサイト「iRONNA(いろんな)」を、10月1日から開設すると発表した。あわせて8日に「産経ニュース」パイロット版を公開した。

 産経ニュースは、ネット用のオリジナル記事「産経プレミアム」を大幅に拡充するほか、トップページを産経新聞大阪本社編集局が編集する「産経WEST」、モバイル端末に適したフォトジャーナリズムを提案する「産経フォト」など、独自コンテンツの豊富なニュースサイトとなる。

 「iRONNA」は、出版社5社と産経新聞グループが提携して豊富な雑誌記事や論文を掲載、日本が直面する課題などをまじめに議論するオピニオンサイトを目指す。著名な雑誌編集長らが交代で「当番編集長」を務め、テーマに沿ったまとめ編集を行う。

 産経ニュースの開始に伴い、日本マイクロソフトと共同で事業展開してきた「msn産経ニュース」は終了する。マイクロソフトは現在のネットワークサービスMSNを世界的な規模で統一し、新たなサービスに切り替える。

 パイロット版のアドレスは『産経ニュース』(http://www.sankei.com)。
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NYタイムズの有料会員数は約80万人、日経は35万人、朝日は16万人


2014年4月24日のニューヨークタイムズ社のプレスリリースによれば、同社のデジタル有料購読者は約80万人を記録したとのこと。昨年から4万人ほど購読者が増えています。

第一四半期においては、デジタルと紙の広告売り上げは合算で昨年同時期より3.4%増、広告以外も含めた売上は昨年より2.6%増え、3.9億ドル(約400億円)となっているようです。

以下のリンクから、様々なデータをのぞくことができます。また、メディアの取り組みについては、「ニューヨークタイムズの動きから見る、5つのメディアトレンド」を参考にしていただけたらと思います。

The New York Times Company - The New York Times Company Reports 2014 First-Quarter Results

日本の新聞社の数字もいくつか見ていきましょう。

一番進んでいるのが、日経電子版でしょうか。2月のデータでは会員数が300万人を突破しました。

日経ID会員、300万人に デジタルサービス拡充
また、日本経済新聞と日経BPのIDを統合し、500万人にも到達。有料会員は5月時点で、35万という数字を誇っています。

日経と日経BP、ID統合で会員500万人
 ほかにも、朝日新聞は、先日のプレスリリースでは以下のような数字を示しています。

朝日新聞社の電子版「朝日新聞デジタル」は、5月18日に創刊3周年を迎えた。有料会員は16万人(select会員を含む)を突破。無料会員と合わせた総会員数は148万人超にのぼる。
「朝日新聞デジタル」、総会員数148万人/有料会員16万人突破 (1/1):MarkeZine(マーケジン)
今年に入ってから「ラストダンス」や「吉田調書」などマルチメディアを活用したコンテンツをつくるなど、そのデジタル戦略は光っていると思います。コンテンツ戦略はもちろん、会員増に向けた取り組みにも注目したいです。
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日経の経済アプリとNYタイムズとの比較で見えた"次の一手"

9月1日、日本経済新聞社が経済ニュースアプリ「Niid」を発表、サービスを開始しました。
NIID
(アプリ紹介ページよりキャプチャ)

日経産業新聞や日経MJなど、日経の有料媒体を自社の編集者がカテゴリごとにキュレーションしてきて解説するアプリとなっています。経営・顧客・グローバルに加えて英語力UPという4つの視点からカテゴリ分けされています。

今回の記事では「日本経済新聞社がなぜこうしたアプリを出すのか?」という背景を解説していきます。

日経とNYタイムズは似た境遇
実は、今回の日経「Niid」とコンセプトが近しいアプリを、NYタイムズがやっています。

その名も「NYT Now」。

今春に始まったサービスで、自社の編集者がニュースをセレクトし、要点を絞ってビジュアル的にも分かりやすく伝えてくれます。

日経新聞とNYタイムズは、幾つかの点で置かれている立場が似ています。

まず第1に、前者が「ビジネスマン」、後者が「エリート層」向けにターゲティングされている点。読者の平均年収は高く、高度な政治経済のニュースはきちんとお金を払ってでも読みたいと考えている層です。

第2に、日本経済新聞社は他の全国紙のように豊富な不動産を有しておらず、その収入に頼れないという点でもNYタイムズに近しいです。それが故に何がなんでもメディア事業を成長させねばならないというインセンティブが強く、電子版の課金モデルが先進的です。

おかげで、2紙とも電子版の有料会員数で日経が30万超、NYタイムズが80万超と伸びています。

対象読者層が全国民である他の日本の全国紙がこの段階で苦戦しているのとは対照的です。

しかし、そうした電子版の伸びだけで紙媒体の収入落ち込みを補えていない点でも2社は同じだと言えます。日経で10%未満、NYタイムズで約20%というのが、全体に占めるデジタルの収入(課金・広告)の割合です。

今後も購読者数は伸び続けるにしても、今の電子版だけで会社を支えるのは難しいという認識はあるのでしょう。

そこで、現在きているスマホ普及のトレンドに合わせて新たな読者を開拓しよう、というのが「NYT Now」であり「Niid」なのです。

両媒体とも、持っているコンテンツの豊富さではズバ抜けていますが、あまりに豊富であるが故に毎日全部読み通すのは至難のワザ。そこで記事数をあえて絞ってスマホユーザー向けのコンテンツとして出すことで、既存の読者へのフレンドリーさを保ちつつ、これまで訴求してこなかったよりライトな層(若手ビジネスマンや学生?)への浸透を図っていけます。

NYT Nowは料金も電子版の購読(月15ドル)の約半額である8ドルとお手ごろ。Niidもこの辺りをベンチマークにするのではないでしょうか。

「社会人の常識だから日経読んどけ」といわれてももう紙の新聞には抵抗がある、そもそも長すぎて嫌だというビジネスマンに向けて「とりあえずこんだけはスマホで読んどけばいいよ」と教えてくれるアプリを出すというのは便利です。僕も使います(Android版のリリースが待ち遠しいです)。

「Niid」の抱える課題
iPhoneユーザーの友人にDLしてもらって使ってみた感想です。

指摘は2点あって、まず1点目に、最短で1日以上経過した記事しかNiidには配信されないという点。もちろん第2報とその解説が読めるだけにいいのですが、この領域では、最近編集長が代わって方針転換してきた「東洋経済オンライン」がべらぼうに強いです。それにスマホの良さは即時性と手軽さなので、サッと読める速報が得られた方が価値は高いのではないでしょうか。

2点目は、日経関係の記事しか読めない、閉じた世界観になっている点。NYT Nowでは「Our Picks」というカテゴリが設けられており、NYタイムズの編集者が選んだ他社の記事まで読めるようになっています。

これら2点の実現が難しいのは、既存の紙・電子版とカニバリゼーションを起こさないようにするためであったり既存ブランドを守るためだと考えられますが、もし踏み込んだものに出来れば更に良いサービスになると思います。

今後の戦略は?「下」ではなく「上」をとりにいくべき
今回たくさん引き合いに出してきたNYタイムズは、とにかく新規事業を打ちまくっています。

オピニオンに特化したアプリ「NYT Opinion」や、料理レシピサイト「NYT Cooking」を始めた他、更に短めの新聞を検討中 とのことです。
NYT
(作成:大熊)

ざっくりとした図にしてみましたが、高単価・少数の「エリートビジネスマン」というトップレイヤーを重厚なコンテンツによって既に押さえているNYタイムズは、より軽めのアプリやサイトを作っていき、低単価・多数のユーザー獲得を図っていく道中にあると考えられます。

日経もそれに倣うとすれば、たとえばNYT Cookingの代わりに日経ヘルスのコンテンツを使った美容アプリやサイトなんかが考えられますね。

しかし、下部のレイヤーというのは実はレッドオーシャンです。日本の状況で言えばニュースアプリが乱立し、まとめサイトも未だに強く、それらもソシャゲとすきま時間を奪い合っています。そんな戦場から、日経が低単価でペイするほど大量のユーザーを獲得するというのは非常に厳しいように見えます。

ではどうすればいいか?実は魅力的かつ日経にしか今のところ手が出せないような市場は上部のレイヤーにあります。

上の図をもう一度見てほしいのですが、あえてNYタイムズの下に日経を配置しています。

300万人の読者を抱える「世界最大級の経済紙」である日経新聞は、トップレイヤーに最適化された媒体ではないと言いたいのです。

一般化が意識されすぎて逆に分かりづらい、踏み込んだ高質な記事が少ない等の側面も持つ日経新聞に対して、「本当は読みたくないけど皆が読んでいるから読まざるを得ない」と不満を抱えている最先端ビジネスマンは確実に存在するのではないでしょうか。

そんな彼らは、英語も読める人が多いため「NYタイムズ」「ウォールストリートジャーナル」「フィナンシャルタイムズ」等海外のクオリティペーパーを読んでいるのだと考えられます。

それらの媒体と手を結びつつ、新規事業として日経ブランドと取材力を活かしたクオリティ・ペーパーを創るという発想があってもいいと思います。

読者は母数が少ないながらも収入も高いと考えられる層なので、高単価を課すことは可能です。

既にトップレイヤーを押さえているNYタイムズも「Times Premier」なるサービスを開始し、NYタイムズ内部の情報を届けてくれたりイベントに優先招待する付加価値をつけて、既存の電子版より高い月45ドルのモデルに挑戦しています。

上部の余地が大きい日本で、日経がやればより効果的なはずです。

ということで、キュレーションアプリについて語っていたはずですが、結論としては「より高質な日本の経済紙を、日経がつくるべき」となりました。その時の媒体は、スマホやPCになるはずですが。

次回は、トップレイヤーも既に取りつくしているNYタイムズの今後の活路は海外にあり、という記事を書きます。日経にもまた関係してくる話になります。
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参考
ニュースアプリの未来!開発者メモ 
(ニュースアプリ  スマホでニュースばかり読んでいると、バカになる?)
(ニュースアプリの未来!開発者メモ? (Google Glassの原価))

キュレーションアプリ(簡易) Google News 及びその他ポータル系のRSS一覧

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