久々の大ヒット!『Xperia Z5』人気の理由を探る

2016年04月04日

久々の大ヒット!『Xperia Z5』人気の理由を探る

久々の大ヒット!『Xperia Z5』人気の理由を探る

冬春モデルとして発売されたスマホの中で、抜群の売れ行きを誇るのが、『Xperia Z5』だ。同モデルはドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアから発売され、いずれも販売ランキングでは上位にランクイン。Xperiaシリーズの人気が高いことを裏付けた格好だ。

Xperia Z5で実際に撮った写真

 10月に発売してから、4か月以上経っているが、その売れ行きは健在。ドコモ版は、3月にAndroid 6.0へのアップデートも開始された。今回は、長期レビューという形で、この機種を発売直後から使い続けてきた筆者が、その使い勝手や、Android 6.0にアップデートされた後の特徴を解説していきたい。

■Xperia Z5の位置づけと基本性能は?

 『Xperia Z5』は、『Xperia Z』から続くZシリーズの「究極の集大成」と位置付けられている1台。Zシリーズは、ソニーの持つカメラや音楽、ディスプレイの技術をスマホに取り込むことに主眼が置かれていたが、その終着点がこの機種というわけだ。実際、ソニーモバイルは、2月に開催されたMobile World Congressで、ブランドを刷新。新たなシリーズとなる『Xperia X』とその派生モデルを発表している。

  この機種は、背面にくもりガラスのような「フロステッドガラス」を採用。従来のXperia Zシリーズより、日常生活に溶け込むことを目指して開発されている。この点で、コンセプトは、Xperia ZシリーズとXperia Xシリーズの中間にあると言えるかもしれない。カメラはモジュールを一新しており、動画はソニーのカメラ「α」の技術を取り込んで、約0.03秒でフォーカスが合う「ハイブリッドAF」に対応する。

  音楽再生機能では、デジタルノイズキャンセリングとハイレゾオーディオを両立させたのが、進化のポイントだ。デジタルノイズキャンセリングはイヤホン側に搭載されたマイクで周囲の音を拾い、それと逆位相の音をぶつけることでノイズをかき消す仕組み。これは『Xperia Z2』から搭載されてきた機能だが、イヤホンが限定されるデメリットがあり、ハイレゾを出力できるものが存在しなかった。『Xperia Z5』では、その点を改善し、対応イヤホンを発売。両者を組み合わせて使うと、静かな環境で、臨場感ある音質を楽しむことができる。

  では、実際の使い勝手はどうか。本体に関しては、フロステッドガラスのサラッとした持ち心地がよく、5.2インチというほどよいサイズのため、手の大きな筆者のような男性なら、ギリギリ片手での操作ができる。ただし、本体形状がスクウェアに近いため、画面上部まで親指が届かないことがあるのは、少々気になるところだ。片手操作が最重要というのであれば、よりコンパクトな『Xperia Z5 Compact』を試してみるといいだろう。

  端末のレスポンスは、非常に良好だ。発熱しやすく、それを抑えるために一部機種でパフォーマンスが低下してしまう「Snapdragon 820」を搭載しているため、発売前に動作の快適性を不安視する声も聞かれたが、実際に使っている限りでは、特に問題は感じられない。確かに起動するアプリによっては背面が熱くなることはあるものの、上手に放熱しつつ、パフォーマンスを適度に抑えてスムーズに動くよう調整されているようだ。

 『Xperia Z5』では、シリーズ初の指紋センサーも搭載されている。指紋センサーは、電源キーと一体化したもの。そのため、端末を手に取り、画面を点灯させようとすると、自然に指紋が読み取られてロックが解除される。AndroidにiPhoneのようなホームキー兼指紋センサーをつける手もあるが、こちらの方が自然で、デザインを損なわない点も評価できる。

  一方で、電源キーは側面に搭載されているため、どうしても面積が小さくなってしまう。そのため、ホームキーを搭載しているGalaxyシリーズなどと比べると、指紋を読み取れる範囲が狭くなる。結果として、ロック解除が上手くいかないケースもある。あくまで感覚値で実際に計測したわけではないが、10回トライすると、2、3回は失敗してしまうイメージだ。この点は、次機種以降での改善を期待したい。

■カメラや音楽機能は十分満足できる仕上がり

 カメラのクオリティは、実際に撮った写真を見てもらった方がいいだろう。以下に掲載した写真は、すべて「プレミアムおまかせオート」に設定して撮ったものだ。ご覧のように、解像感が非常に高く、色味もビビッドに出ている。屋外、特に色のキレイなものを撮る際に強いカメラと言える。暗い場所ではそれなりにノイズが出てしまうのは、スマホのカメラとしては致し方ないところだが、もう少し明るく撮れてもいいかもしれない。

  色味や明るさに関しては、プレミアムおまかせオートでも手動で設定できるため、気になった場合は調整するのも手だ。個人的な印象としては、やや暗めに写ってしまうことがあるため、少しだけ明るめにして撮ると、より写真がキレイに見える。明るさや色味はあとから内蔵アプリで編集することもできるが、仕上がりを確認できるという点では、撮影中に設定した方がいいだろう。

 写真に関して気になったのは、四隅がブレてしまうことがあるところ。中央部分は特にブレがないため、ひょっとしたらモジュールかソフトウェアの不具合かもしれない。起動、保存が少々遅いと思っていた点は、後述するAndroid 6.0へのアップデートである程度解消されている。

  ノイズキャンセリングに関しては、非常に高い効果が得られる。特にメリットが分かりやすいのは、電車や飛行機に乗っているとき。オンにすると騒音がスッと消え、音楽に集中することができる。長時間のフライトで、耳栓代わりに使ってもいい。ノイズキャンセリングは、本体側で行う仕組みのため、イヤホン側がシンプルで、荷物が軽くなるのもうれしいポイント。イヤホンの充電がいらないのも手軽で、評価できる。

■Android 6.0へのアップデートで利便性がさらに高まった

 3月2日には、ドコモ版『Xperia Z5』のアップデートが開始された。これによってOSが最新のAndroid 6.0になり、利便性がさらに上がっている。具体的な日程は明かされていないが、au版、ソフトバンク版に関しても、アップデートの予定が発表されている。

  とは言え、ユーザーインターフェイスに大きな変更はない。アップデートしても、パッと見では違いが分からない人もいるだろう。逆に考えると、これまで慣れ親しんだ操作性を手放さなくていいということで、変化を好まないユーザーでもある程度安心してアップデートできる。では、違いはどこにあるのか。

  大きな新機能として1つ目に挙げておきたいのが、「Now on Tap」への対応だ。この機能は、画面上の文字を読み取り、クラウド上でキーワードを検出するもの。ユーザーにとってのメリットは、ホームボタンを長押しするだけで、検索が可能なるというところにある。今までコピー&ペーストしなければならなかった操作が、簡略化されるということだ。

  たとえば、メール上に日時や場所が書かれていたとする。Now on Tapはその情報を読み込み、ユーザーに日時や場所だけを提示する。ここから、カレンダーに予定を登録したり、マップを起動したりといったことが可能になる。関連するアプリを選んで立ち上げられるところが便利だ。文章によってはうまくキーワードを検出してくれないこともあるのが難点だが、工夫すれば、素早く目的の操作にたどり着ける。

  セキュリティの強化も、大きなトピックと言えるだろう。Android 6.0では、アプリが権限を必要とするたびに、許可を求めるようになっている。これまでは、インストール時に一括で許可を与えなければならず、アプリが裏で何をしているかが分かりづらかった。その不安を解消するために、アプリが該当する機能を実際に使うときに、権限の付与を求められるようになった。

  ユーザーが不要だと感じた場合は、拒否することも可能だ。あくまで一例だが、グルメ情報のアプリが電話帳にアクセスしようとしたら、「なぜ?」と思うかもしれない。このようなとき、以前ならアプリをインストールするかどうかの二択になってしまっていたが、Android 6.0以降なら、電話帳にだけはアクセスさせないという設定をすることができる。うっかり怪しいアプリを入れて、情報が知らない間に抜かれてしまっているという心配が、少なくなるのだ。

  ほかにも、アップデートで、ユーザーインターフェイスや内蔵アプリなど、細かな点が変更されている。Androidのネイティブな機能と競合するSTAMINAモードがいったん削除されたりといったマイナス点はあるものの、基本的には、Xperia Z5の利便性がさらに高まったと考えていいだろう。

  トータルで見ると、『Xperia Z5』は、性能も高く、使い勝手も良好なバランスのいい機種だ。Android 6.0に対応したことで、その評価はさらに底上げされた。一方で、アクセスポイントによってはWi-Fiが不安定になったり、通話時に本体を耳に近づけた際に画面が消えるのが遅かったりと、少々チューニング不足な点も目につく。こうした点をブラッシュアップしていくことは、今後も続けていってほしい。

 【ジャッジメント】
UI         ★★★★★
レスポンス     ★★★★★
バッテリーもち   ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★
アプリの数     ★★★★★
文字の打ちやすさ  ★★★★★
質感        ★★★★★
撮影性能      ★★★★★



rikezyo00sumaho at 06:00|PermalinkComments(0)