1990年08月

1990年08月21日

祝!情報数学の理論も興味!  フィールズ賞を受賞 森重文 京都大学数理解析研究所教授 「3次元の代数多様体の極小モデル証明」

祝!情報数学の理論も興味!  フィールズ賞を受賞 森重文 京都大学数理解析研究所教授 「3次元の代数多様体の極小モデル証明」
祝!フィールズ賞を受賞 森重文 京都大学数理解析研究所教授700


(大学4年生の頃の「学問的空気」、見聞を広める「就活」に、「院試」に、「先輩」に・・・いろいろ忙しい。)

 森 重文(もり しげふみ、1951年(昭和26年) 2月23日 - )は、日本の数学者。理学博士(京都大学、1978年)、京都大学名誉教授。専門は代数幾何学における双有理幾何学。代数幾何学での業績により1990年にフィールズ賞を受賞。
名古屋大学教授、京都大学数理解析研究所教授、所長、名古屋大学特別教授、京都大学高等研究院特別教授、所長を歴任。ハーバード大学、プリンストン高等研究所、マックス・プランク研究所、コロンビア大学など、海外での研究経験も豊富であった。数学分野での国際的な協力を行う非政府組織であり、国際数学者会議の主催団体である国際数学連合の総裁にアジア人としては初めて選出された。愛知県名古屋市出身。

業績
「接束が豊富なら射影空間である」というハーツホーンの予想を解決した論文は、代数多様体の構造論における最初の一般的な定理として歴史に刻まれるものであり、そこで開発された証明の技法がさらに洗練され「端射線の理論」となった。これは代数多様体および有理写像の構造の研究に有力な手段を与えるもので、これにより2次元の壁を乗り越えて高次元代数多様体の構造を解明することが可能になった。森理論の発表、3次元Fano多様体の研究など高次元代数多様体の研究に新しい視点を提供した。これらの業績により、1983年のワルシャワでのICMの招待講演に招聘された。さらに極小モデルの存在を3次元の場合に示すことに成功し、1990年に京都で開かれた国際数学者会議でフィールズ賞を受けた。


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逸話

「数学のたのしみ」で、森重文氏 の回想録が出ていた。中・高校時代から大学卒業後までの森氏の数学とのかか わりが語られていて、そこには恐るべきことが極めてさりげなく書かれている。 例えば、大学3回生ぐらいの頃、森氏は当時京大の助教授をされていた土井公二先生のところに入りびたり、「代数をやりたい」と申し出た。で、土井公二先生は、 将来代数をやるにはこの本を読めと、色々紹介されたという。そこまではいい。 しかし、それからが恐ろしい。1~2ヵ月後読み終わりましたと土井公二先生を訪ね ると、また別の本を紹介される。そういう事が何回か繰り返された。結局それ は将来代数幾何をやるにも数論をやるにもどちらにも必要な内容だったという。 どういう本なのか土井公二先生に聞いたことがある。「数学者アンドレ・ヴェイユ(1906~1998)が書いた「Basic Number Theorem」や主著に三部作『代数幾何学の基礎』(1946 )、『アーベル多様体と代数曲線』(1948)、『代数曲線とそれに関連する多様体』(1948 )など、らしい。数学の専門書を1~2ヵ月で読破するのはマトモではない!(定期試験のやっつけ勉強とは訳が違う。)回想録にも登場する某先生が他の所で書いていたが、学生時代の森氏に対しては「数学書を読むのが 異常に速いという印象を持った」そうである。この回想録には、他にも恐ろしい話が随所に見られるが詳細は省略する。

森重文氏「私の受験の頃は東大紛争で東大入試が無かった。京大教養部も封鎖。京大の入学式もは、全共闘の連中が突入してきて1分で終わった。同年十月に教養部授業の再開した。そのような時期であった」
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森重文氏「2回生後期からは、土井公二先生の代数学の講義。朝行くとまず土井先生の研究室に行く。先生との日常的なやり取りの中で、代数、幾何、数学の事が少しずつわかるようになってきた。この頃丸山正樹先生にも出会った」
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森重文氏「助手時代、土井先生にSeveriの問題を教えてもらい、それを解決して博士論文を作成。当時はこのようなキャリアが許された。ある意味鷹揚だった。その後、ハーツホーン予想を隅広先生と共同研究。アナログとデジタルが融合できたという印象」
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Q「代数幾何を専攻すると決めた理由、例えば解析などに心が揺れなかったのか」森重文氏「整数論と代数学かで悩んだ。土井先生は整数論の先生。『代数幾何の基礎』という本を進められ、二回生くらいで読み終え、先生のところに行くと次の本、また次の本と読み進めた」
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1969年に東京大学の入試が中止されたため、京都大学に進んだ。このためフィールズ賞受賞時は「あのとき東大に進んでいたらフィールズ賞受賞はなかっただろう」と『科学朝日』で報じられた。
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学生時代、指導教授からある数学書を薦められると1~2ヶ月ほどで「読みました」と戻って来てしまい、次の数学書を薦められてはまた同じことを繰り返した。「数学書を読むのが異常に速い」学生として強烈な印象を与えていたという。
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大学時代は全問正解しても80点しかくれない教授の試験で120点を取り続けた。
『大学への数学』という受験雑誌の学力コンテストで1年間ほぼ連続満点を続けた伝説の人となり、編集部が森君の答案を楽しみにしていた。
東京大学物性研究所教授の高田康民は、京大では数学志望だったが、同級生の森重文と比べて自分の数学的才能に自信を持てなくなり、翌年東大に入学し直し、物理学志望に変更した。
高校の時に大学の内容を進んで学んでいたりはしていなかった。大学での数学に触れたのは大学に入ってからである。
広中平祐は「自分は鈍才だが、森君は天才」という。
謙虚な人柄で、「3次元代数多様体における極小モデルの存在証明」のテーマで同賞を受賞したことについて「応用がものすごく広がったが、私が貢献したのはごく一部。周りの皆さんのおかげ」という。

学生時代、指導教授からある数学書を薦められると1~2ヶ月ほどで「読みました」と戻って来てしまい、次の数学書を薦められてはまた同じことを繰り返した。「数学書を読むのが異常に速い」学生として強烈な印象を与えていたという。
教えていた数学の教師が、高校卒業後も『彼はやがてノーベル賞をとる』と言い続けていた。
フィールズ賞受賞の4年前に他の分野で既にフィールズ賞候補になっていてその時は取れなかったが、競争相手が多いメジャーな別の分野を新たに研究して、フィールズ賞を受賞した。
天才伝説については、まだ京大の助手の頃から既に轟き渡っていて、学生は「森先生は今は『重文(重要文化財)』だけど、いつか国宝になるんだろうな。『森重文』改め『森国宝』!なーんてね」みたいな冗談を言い合っていた。

日本の数学者
【今日の数学者】2月23日はガウスの命日であり、志村-谷山予想の志村五郎先生のお誕生日であり、フィールズ・メダリストの森重文先生のお誕生日です。

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生誕 1951年2月23日
日本の旗 日本、愛知県名古屋市
国籍 日本の旗 日本
研究分野 数学
研究機関 京都大学
名古屋大学
出身校 東海中学校・高等学校
京都大学
博士課程
指導教員 永田雅宜
主な業績 代数幾何学
影響を
受けた人物 広中平祐
主な受賞歴 フィールズ賞(1990年)
コール賞(1990年)

学位論文
森重文『The endomorphism rings of some abelian varieties』京都大学〈博士論文(乙第3526号)〉、1978年3月23日。日本語題名『幾つかのアーベル多様体の自己準同型環』
著書
森重文『双有理幾何学』岩波書店〈岩波講座現代数学の展開第16巻〉、1998年、ISBN 4000106538。
Janos Kollar、森重文『双有理幾何学』岩波書店、2008年、ISBN 9784000056137。


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略歴
1969年 - 東海高等学校卒業
1973年 - 京都大学理学部卒業
1975年
京都大学大学院理学研究科修士課程修了
京都大学理学部助手
1977年 - ハーバード大学助教授(1977-1980年)
1978年
京都大学より理学博士号
ハーツホーン予想を解決 (ハーバード大学滞在中)
1980年 - 名古屋大学理学部講師 ハーバード大学、プリンストン高等研究所、マックス・プランク研究所の研究員を併任
1982年
端斜線の理論を発表
名古屋大学理学部助教授
1985年 - コロンビア大学客員教授(1985-1987年)
1986年 - 3次元の代数多様体の極小モデルの存在証明に成功
1988年 - 名古屋大学理学部教授
1990年 - 京都大学数理解析研究所教授
1999年 - 国際数学連合副総裁(1999 - 2002年)
2010年 - 名古屋大学特別教授
2011年 - 京都大学数理解析研究所所長( - 2014年)
2015年 - 国際数学連合総裁( - 2018年12月)
2016年
京都大学高等研究院院長
京都大学名誉教授

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受賞・講演歴
1983年
日本数学会彌永賞 - 代数多様体の研究
ICM招待講演(ワルシャワ)
1984年 - 中日文化賞 - 代数幾何学の研究、とくにハーツホーン問題の解決
1988年
日本数学会秋季賞 - 代数多様体の極小モデル理論(川又雄二郎との共同受賞)
井上科学振興財団井上学術賞 - 高次元代数多様体の研究、特に3次元極小モデルの存在証明
1990年
ICM全体講演(京都)
国際数学者会議フィールズ賞
アメリカ数学会コール賞代数部門 - 代数多様体の分類。特に論文 Flip theorem and the existence of minimal models for 3-folds に対して
日本学士院学士院賞- 代数多様体の分類理論の研究(飯高茂、川又雄二郎との共同受賞)
文化功労者
1992年 - 米国芸術科学アカデミー外国人名誉会員
1998年 - 日本学士院会員
2004年 - 藤原科学財団藤原賞 - 高次元双有理幾何学理論の建設
2016年 - ロシア科学アカデミー外国人会員
2017年 - 米国科学アカデミー外国人会員
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2017 0128
数学者が読んでいる本ってどんな本 小谷元子(編集) (東京書籍 森重文 京都大学数理解析研究所)


本の街・東京神田神保町「書泉グランデ」の「数学者の書棚」フェア。本書では、2年間のブックフェア選者13人がフェアのために選んだブックリストと、そのなかでも特に思い入れのある書籍に対して、長めの紹介または短めの一言紹介をつけている。コメントの付いた書籍が233冊、ブックリストに挙がった書籍は全950冊と、広い領域をカバー。

2017 0128
森重文 京都大学数理解析研究所
解説あり
1 数学まなびはじめ 第1集・第2集 日本評論社 2006 
2 初等代数幾何講義 リード 岩波書店 1991 
3 現代代数学(3巻) 東京図書 1959 
4 石とりゲームの数理 一松信 森北出版 2003
5 復刻版 近世数学史談・数学雑談 高木貞治 共立 1996 
6 目で見る美しい量子力学 外村彰 
7 凸体と代数幾何学 小田忠雄 紀伊國屋書店 2008 
8 記憶の切繪図 七十五年の回想 志村五郎 筑摩書房 2008 
9 伝えたい大切なこと 産経新聞社編 東洋経済新報社 2006 
10 代数幾何学 広中平祐講義 京都大学学術出版会 2004 
11 可換体論 永田雅宜 裳華房 1967 役立つ 大学新書庫1層
12 集合・位相入門 松坂和夫 岩波 1968 
13 不等式 大関信雄ほか 槇書店 1967 
14 定木による作図 コンパスによる作図 スモゴルジェフスキーほか 東京図書 1964 

リストのみ
1 ヒルベルト 数学の問題 増補版 共立 1969 
2 代数幾何における位相的方法 吉岡書店 2002 
3 双有理幾何学 Kollar 岩波 2008 大学410.8I95.16
4 現代ベクトル解析 ベクトル解析から調和積分へ Nickerson 岩波 1965 
5 ガロアの理論 Postnikov 東京図書 1964 
6 初等代数幾何講義 Lead 岩波 1991
7 現代代数学 3巻 Waerden 東京図書 1959 
8 復刊 近代代数学 秋月康夫ほか 共立 2012 
9 特異点入門 石井志保子 シュプリンガー・ジャパン 1997
10 ルベーグ積分入門 伊藤清三 裳華房 1963 
11 代数函数論 増補版 岩澤健吉 岩波 1973 
12 凸体と代数幾何学 小田忠雄 紀伊國屋書店 2008 
13 代数多様体論 川又雄二郎 共立 1997 
14 理工科系 代数学と幾何学 小松醇郎 共立 1966
15 行列と行列式 佐武一郎 裳華房 1958 
16 方程式論 園正造 至文堂 1948 
17 定本 解析概論 高木貞治 岩波 2010 
18 初等整数論講義 第2版 高木貞治 共立 1971 
19 代数学講義 改訂新版 高木貞治 共立 1965 
20 代数的整数論 第2版 高木貞治 岩波 1971 
21 複素函数論 辻正次 槇書店 1968 
22 保型形式と整数論 土井公二/三宅敏恒 紀伊國屋書店 1976 
23 代数幾何学 中井喜和ほか 共立 1957 
24 復刊 位相幾何学 ホモロジー 中岡稔 共立 1999 
25 可換環論 永田雅宜 紀伊國屋書店 1974 
26 可換体論 永田雅宜 裳華房 1967 
27 理系のための線型代数の基礎 永田雅宜 紀伊國屋書店 1987
28 復刊 アーベル群・代数群 永田雅宜 共立 1999 
29 復刊 抽象代数幾何学 永田雅宜 共立 1999
30 大域変分法 長野正 共立 1971 
31 復刊 現代代数学 服部昭 朝倉書店 2004 
32 多変数解析函数論 一松信 培風館 1960
33 代数幾何学 広中平祐講義 京都大学 2004 
34 ゲージ理論とトポロジー 深谷賢治 丸善出版 2012 
35 数学原論 可換代数3 ブルバキ 東京図書 1986 
36 数学原論 代数3 ブルバキ 東京図書 1977 
37 数学原論 代数4 ブルバキ 東京図書 1969 
38 数学原論 代数5 ブルバキ 東京図書 1969 
39 集合・位相入門 松坂和夫 岩波 1968 
40 復刊 リー環論 松嶋与三 共立 2010 
41 多様体入門 松嶋与三 裳華房 1965 
42 代数幾何学 宮西正宜 裳華房 1990 
43 モース理論 Milor 吉岡書店 2004 
44 モジュライ理論Ⅰ、Ⅱ 向井茂 岩波 2008 
45 解析的整数論Ⅰ 素数分布論 本橋洋一 朝倉書店 2009 
46 不変式論 森川寿 紀伊國屋書店
47 群と位相 横田一郎 裳華房 1971 
48 谷山豊全集 増補版 日本評論社 1994 
49 不等式 大関信雄 槇書店 1967 
50 定木による作図、コンパスによる作図 スモゴルジェフスキー 東京図書 1964 
51 ガロアの夢 群論と微分方程式 久賀道郎 日本評論社 1968 
52 石とりゲームの数理 一松信 森北出版 1957
53 初等的に解いた高等数学の問題 1-4 Yalom 東京図書 1957 
54 復刻版 近世数学史談・数学雑談 共立 1996 
55 量子群とヤン・バクスター方程式 シュプリンガー・ジャパン 1990 
56 数学者ザリスキーの生涯 Prikh シュプリンガー・ジャパン 1996 
57 ガロアの時代 ガロアの数学 第Ⅰ部、Ⅱ部 彌永昌吉 丸善出版 1999
58 数学者の20世紀 彌永昌吉エッセイ集 岩波 2000 
59 アンドレ・ヴェイユ自伝 ある数学者の修行時代 丸善出版 2012 
60 若き日の思い出 彌永昌吉 岩波 2005 
61 目で見る美しい量子力学 外村彰 サイエンス社 2010 
62 確率論と私 伊藤清 岩波 2010 
63 志学数学 井原康隆 丸善出版 2012 
64 小数ができない大学生 国公立大学も学力崩壊 岡部恒治 東洋経済新報社 2000  
65 『博士の愛した数式』 小川洋子 新潮社 2003 
66 クロフツ短編集 Crofts 東京創元社 1965 
67 伝えたい大切なこと 産経 東洋経済新報社 2006 
68 記憶の切繪図 七十五年の回想 志村五郎 筑摩書房 2008
69 数学をいかに使うか 志村五郎 ちくま学芸文庫 2010
70 中国説話文学とその背景 志村五郎 ちくま学芸文庫 2006
71 無所属の時間で生きる 城山三郎 朝日新聞社 2002 
72 数学まなびはじめ 第1集、第2集 日本評論社 2006
73 算数軽視が学力を崩壊させる 西村和雄ほか 講談社 1999 
74 視覚の地平 勝井三雄 宣伝会議 2003 
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参考

 

1990年8月21日 「3次元の代数多様体の極小モデル証明」 フィールズ賞を受賞 森重文 教授

 

参考

 

京都 VSOP も祝! 1990年8月21日 「3次元の代数多様体の極小モデル証明」 フィールズ賞を受賞 森重文 教授

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参考

 

<論文のマップあれば・・・>「3次元の代数多様体の極小モデル証明」 フィールズ賞を受賞 森重文 教授

 

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京都賞 受賞記念講演 黒澤 明(思想・芸術部門映画・演劇)、アンドレ・ヴェイユ(基礎科学部門 受賞(数学 整数論・代数幾何学など))国立京都国際会館へ (大学の研究室 教授らとも、京大の友人とも)ame 

あの頃考えていたこと(学問編)メモvol.2  数学 整数論(志村理論)を知る 「数を読む」Jugem
 

あの頃考えていたこと(学問編)メモvol.1  数学 整数論(志村理論)を知る 「数を読む」 se
 

数学 整数論「素数の宇宙の世界」 Dream of G. Shimura? (志村理論:志村多様体・志村ゼータ関数・志村曲線・志村モデル・志村系リフト・・) 【今日の数学者】2月23日生 志村五郎 li
 

1993年6月23日 プリンストン大学のA.ワイルスが、フェルマーの最終定理の証明を宣言 fc2
 

1994年9月19日 プリンストン大学のA.ワイルスが、フェルマーの最終定理の証明を修正 li
 

1995年2月13日 プリンストン大学のA.ワイルスが、フェルマーの最終定理の証明(完成)se
 

感動!数学の歴史 「350年の難問解決! フェルマーの最終定理」 1995年

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